箱根駅伝をデータで振り返ってみる・ちょっと改訂版

id:kuroyuliさんからコメントいただいたように、前エントリにおける2区の考察は我ながら「これはひどい」と思いましたので、ちょっと評価をやり直してみることにしました。

2区・5区の中だけでプレ偏差値を再計算

「2区が『投資』に見合わないんじゃないか」を考える上で、全選手内での評価と2区内での評価を比較すること自体ダメですので、改めて同じ区間のランナー内で「プレ偏差値」を算出し、評価をやり直したのが下の表です。

選手名 大学名 区内プレ偏差値 レース偏差値 総合評価
ダニエル 日大 74.48 67.66 -6.82
村澤明伸 東海 59.66 63.79 4.13
大津翔吾 東洋 42.77 51.18 8.41
高瀬無量 山梨学院 44.57 56.92 12.35

区間賞ながらタイムが伸びなかったダニエルは今回の評価でもやはりマイナス。区間2位の村澤はダニエルを相手に好走、区内ではプレ偏差値が平均以下だった大津と高瀬は予想を大きく超える結果だったことになります。同様に5区についても再計算したのが下の表。

選手名 大学名 区内プレ偏差値 レース偏差値 総合評価
深津卓也 駒澤 69.23 58.62 -10.61
柏原竜二 東洋 66.63 75.16 8.54
久國公也 明治 41.76 39.04 -2.72
大谷康太 山梨学院 38.06 60.45 22.40

前エントリでうっかり失念していたんですが、5区で柏原より良いタイムを持っている選手がいました。駒澤の深津です。トラックではほぼ互角ですが、ハーフマラソンでは柏原より45秒速いベストがありますので、今回追加することにしました。適性の面を考えると、前回の評価よりもよりはっきりした傾向が出た感じのデータです。

ダニエル2区投入と柏原5区投入、どちらが有効なのか

次に、ダニエルと柏原の比較を通じて、2区と5区の違いについて考えてみようかと。
今大会、ダニエルはモグス(山梨学院)の持つ区間記録(1:06:04)を狙うとも言われていましたが、実際のタイムは1:07:37と伸び悩みました。今回導入したプレ偏差値から考えると、どの程度の記録が可能だったのかを、期待値として考えてみました。ざくっとしたやり方ですが、他の選手がすべて実レースと同タイムで走ったとして、プレ偏差値と同じ数値に相当するタイムを計算して、ダニエルの実タイムと比較してみます。

2区平均走破タイム 1:09:58
ダニエルの区内プレ偏差値相当74.48の想定タイム 1:06:18
ダニエルの実レース走破タイム 1:07:37
想定タイムとダニエルの走破タイムの差 1:19
想定タイムと平均走破タイムの差 -3:40

ダニエルの実力を考えると、モグスの記録には若干届かないながら1:06:18くらいのタイムが想定できたことになりますが、実タイムは1:07:37ですから、日大はチームとして1:19だけ想定が狂ったことになります。また、机上の計算ではダニエルの投入によって2区の中で平均的なランナーに対して期待できるアドバンテージは3:40という結果になりました。これを5区の柏原と比較してみましょう。

5区平均走破タイム 1:24:12
柏原の区内プレ偏差値相当66.63の想定タイム 1:20:14
柏原の実レース走破タイム 1:17:08
想定タイムと柏原の走破タイムの差 -3:06
想定タイムと平均走破タイムの差 -3:58

プレ偏差値から想定されるタイムは1:20:14でしたが、実際のレースでは柏原がこれより3分以上速いタイムで走っており、ここがいわゆる「コースへの適性」から生まれる部分と考えられます。そしてタケルンバ卿が考察されているように、「2区に比べて5区の方が偏差が出やすい」という部分が表れているのが最後の「想定タイム-平均走破タイム差」で、平地の走破タイムではダニエルに譲る柏原でも、5区であればコース適性抜きの想定の段階で3分58秒と、ダニエル2区投入より18秒多いアドバンテージを持てるわけです(実際に各チームが事前に行う想定は、もちろん平均的な走破タイムを予測するところから始めなければなりませんから、ここでの計算とは当然異なりますが)。このあたりが「エースの集中する2区」と「適性を持つ者が限られる5区」の違いとなっているのではないでしょうか。

と、いうわけで東洋の評価も再び

区間 選手名 全体プレ偏差値 区内プレ偏差値 レース偏差値 総合評価
1区 宇野博之 64.25 60.25 60.15 -0.10
2区 大津翔吾 57.44 42.77 51.18 8.41
3区 渡辺公志 50.15 39.15 50.76 11.61
4区 世古浩基 51.92 54.21 58.54 4.33
5区 柏原竜二 68.20 66.63 75.16 8.54
6区 市川孝徳 48.40 38.38 53.97 15.60
7区 田中貴章 51.08 53.04 65.06 12.02
8区 千葉優 53.69 56.89 65.26 8.37
9区 工藤正也 52.83 46.44 53.27 6.83
10区 高見諒 59.38 63.42 52.79 -10.63

東洋の区間配置の巧みさがより感じられる結果、と言っていいんじゃないでしょうか。前エントリで使った全体でのプレ偏差値も交えて並べてみると、2区大津は激戦の2区で各校のエースを相手に好走、3区渡辺と6区市川の両1年生も格上のランナーを相手に回して予想以上の結果を残したことがわかります。10区に入ると高評価の高見は勝負がもつれていた場合の切り札の位置付けだったわけですが、大量リードと故障の影響もあって無理をしなかった、という感じでしょうか。
書き足りない点についてはまたいずれ。

箱根駅伝をデータで振り返ってみる

山上り偏重に疑問…区割り再検討も?/箱根駅伝 - スポーツ - SANSPO.COM
2ちゃんが選ぶ駅伝表彰ブログ:第86回箱根駅伝表彰 - livedoor Blog(ブログ)
「新・山の神」「竜神」「山の天狗」「鉄紺の機関車」と、通り名のバーゲンセール状態になっている柏原竜二(東洋)の激走が印象的な今年の箱根駅伝でしたが、果たして言われるほどに「5区偏重」が問題なのかをちょっとデータで振り返ってみようかと。データは日テレ公式およびスポーツナビ、それとSAIJO'S箱根駅伝・金利HOMEPAGEを参考にさせていただいておりますが、手作業を加えた部分もありますので誤りがありましたら平にご容赦を。
 

確かに今回の5区は大差だけどさ

今回の5区柏原は区間2位の大谷康太(山梨学院)に4分08秒差をつけ、最近では07年1区で佐藤悠基(東海)がスタートからの大逃げで後続を4分01秒ちぎって以来の圧倒的なパフォーマンスとなりました。4区まで先頭を走っていた明治の久國公也とのタイム差になると10分09秒ですから、明治のみとの比較でいけば、柏原は小田原で10分遅れでも芦ノ湖で逆転していた計算になります。総合結果での東洋と2位駒澤とのタイム差も3分46秒差ですから、これだけを見ると確かに5区のみで勝負が決したように思われますが、各選手の持ちタイムや全体的な布陣を眺めてみると、ちょっと別のイメージが浮かんできます。
 

偏差値で評価してみる

柏原は今シーズン、インカレ5000m・10000mで日本人1位、京都シティハーフマラソン優勝などの実績を残し、平地でも一流の才能であることを証明しました。これが全選手の中でどの位の位置になるのかわかりやすく評価するため、偏差値で評価してみることにします。

各距離偏差値 = 各選手の持ちタイム-全選手の持ちタイム平均*10/全選手の持ちタイム標準偏差推定値+50
10000m・ハーフマラソン・5000m・20kmの各距離偏差値の平均 = プレ偏差値

上の方法で算出した「プレ偏差値」で見ると、柏原は全選手320人中8位の68.20となりました。ちなみに1位は日大のダニエルで79.14、東海のルーキー村澤が68.17で柏原のすぐ下の9位に入っています。
さらに実際のレースにおけるパフォーマンスを評価するため、レースも偏差値で評価してみます。

レース偏差値 = 各選手の区間走破タイム-平均走破タイム*10/平均走破タイム標準偏差推定値+50

今回の柏原の走りをレース偏差値で評価してみると、75.16となりました。同じ5区内で比較すると2位大谷の60.45を大きく離して1位、他の区と比較しても10区福島(上武)の71.80を上回り1位の成績です。
 

プレ偏差値とレース偏差値を比較して損得を検討してみる

コンディションの調整やコースへの適性を含め、選手が期待通りの走りができたかを評価する意味で、上で出したレース偏差値とプレ偏差値を差し引きすることで「総合評価」を出してみました。プラスになれば投入した選手の「優秀さ」に見合ったリターンが得られた、マイナスであれば「投資」に見合わない残念な結果ということになります。

選手名 大学名 プレ偏差値 レース偏差値 総合評価
柏原竜二 東洋 68.20 75.16 6.96
大谷康太 山梨学院 44.45 60.45 16.01
久國公也 明治 47.48 39.04 -8.43
(参)佐藤悠基 東海 77.05 92.41 15.36

上の表は今年の5区を走った主要選手の評価と、参考として前述の07年1区佐藤の評価を出してみました。こうして並べてみると、柏原は期待を上回る成績を残したことがわかりますが、もともと5区でトップレベルのタイムを持っている選手ですから、事前の評価と極端に乖離した結果ではないということも言えます。むしろ区間2位の大谷の方が予想を裏切る「大駆け」であり、本人の努力と山登りの適性を見抜いて起用した山梨学院・上田監督の手腕は評価されてしかるべきでしょう。一方、柏原の引き立て役になってしまった明治・久國は確かに平均を大きく下回るレースでしたが、事前の評価からすれば柏原とのミスマッチは致し方のないところで、当初5区予定だったらしい松本昂大ではなく久國が出走することになった時点で、明治の5区戦略は崩れていたということでしょう。
参考データの07年1区佐藤は「意外な区間へのスーパーエース投入」の貴重な前例で、後続が牽制し合ってタイムが伸び悩む中、単騎で逃げた佐藤が区間新でぶっち切り、大量リードを稼いだ「戦術的成功」のモデルケースと言えます。もっとも、この後東海は5区で「前・山の神」順天堂・今井正人にキッチリ撃沈されてますが。
 

レッドオーシャン化している2区

「5区偏重論」を唱える人々は、5区での攻防だけで勝負が決まってしまうと「花の2区の意義」が薄れてしまうという観点から区間距離の見直しを訴えていますが、「花の2区の意義」ってそもそも何だ?という感想を抱いたデータを少々。2区と言えば「花の2区」と呼ばれる通り、各校のエースが集い並み居るランナーをゴボウ抜きにするイメージがありますが、先程のプレ偏差値とレース偏差値の比較で評価してみると、2区は「差をつけにくい」区間であることが見えてきます。

選手名 大学名 プレ偏差値 レース偏差値 総合評価
ダニエル 日大 79.14 67.66 -11.48
村澤明伸 東海 68.17 63.79 -4.38
大津翔吾 東洋 57.44 51.18 -6.26
高瀬無量 山梨学院 57.08 56.92 -0.16

上は今回2区の主な選手のレース偏差値-プレ偏差値評価ですが、驚くことに20人全員がマイナス評価。総合評価1位の高瀬(山梨学院)で-0.16、区間賞のダニエルは全選手中1位のプレ偏差値の割りにあまり他校にタイム差をつけることができず-11.48の大幅な「赤字」。10人抜きの走りで才能の片鱗を感じさせた村澤でも-4.38です。まさに誰得というヤツです。誰も得していません。今年の2区はいかに優秀な選手を投入しても、期待通りのタイム差を得ることが出来なかったわけです。
このような結果が生まれる原因として、2区の「レッドオーシャン化」が考えられます。あまりに「エース区間」として優秀な選手が投入されることで実力差が出にくくなっていることも当然あるでしょうし、近年はこの前の1区で勝負にこだわるあまりにスローペースで終盤だけ仕掛けるディフェンシブなレースが展開されがちなこともあり、2区でも引き続いて各ランナーが集団走で進むことが多いということも考えられます(このあたりはもっと広い年数を調査して傾向を調べてみると区間見直しの議論にも有益かもしれません)。
そんな誰得な2区にダニエルを投入して日大がシードを失う惨敗を喫し、柏原ではなく大津がほぼ平均点の走りで手堅くまとめた東洋が総合優勝、というのが駅伝の戦略の面白いところです。

リソースの適正な投入で戦略的勝利を得た東洋

区間 選手名 プレ偏差値 レース偏差値 総合評価
1区 宇野博之 64.25 60.15 -4.11
2区 大津翔吾 57.44 51.18 -6.26
3区 渡辺公志 50.15 50.76 0.61
4区 世古浩基 51.92 58.54 6.62
5区 柏原竜二 68.20 75.16 6.96
6区 市川孝徳 48.40 53.97 5.58
7区 田中貴章 51.08 65.06 13.97
8区 千葉優 53.69 65.26 11.57
9区 工藤正也 52.83 53.27 0.43
10区 高見諒 59.38 52.79 -6.59

東洋の堅実な戦いぶりは上の表の数字によく表れています。1・2区が悪いなりにタイムをまとめ、3区以降は故障明けだった10区高見を除いて7人がプラス評価。柏原に「貯金を使っていい」と言われた7区田中に至っては区間賞の快走で、チーム最大の13.97の「黒字」をもたらしました。
このような戦いを可能にしたのはチームの均一な質の高さと言えます。東洋はエース格の選手は柏原・宇野が挙げられるくらいで、他校と比較してそう豪華な陣容ではありませんが、リザーブに至るまで平均を大きく下回る選手が1人もいない層の厚さを持っていました。この「選手層の厚さ」によって、個々の選手に適した区間へ自由に起用し、限られたリソースを適正に投入することが可能になったわけです。そういう意味では、「東洋は柏原のワンマンチーム」という批判は全く当たらないことがわかります。
6区に起用された市川には「高1の頃から山下り要員として注目していた」と佐藤尚コーチが語るように、東洋のチーム戦略はスカウティングの段階から箱根勝利に最適化されていることが伺えます。加えて、川嶋前監督が「うがい・手洗いまで声をかけて徹底してやらせた」という体調管理や、酒井監督のレギュラー・リザーブの壁をなくした指導など、今回の東洋の勝利は、ひとつひとつの策が当たって得た戦略的勝利と言えるでしょう。このあたりは、ここ数年多くの有望高校生を獲得しながら、今季は不調の選手が多く「5区は八木と心中する」と言って適性が不明な八木勇樹を起用せざるを得なかった渡辺康幸監督の早稲田と実に対照的です。
 

一応のまとめ

「5区偏重論」は「柏原がチートだ」という観点から検討するのは勘弁してほしいところですが、ちょっとブクマで書いたように短縮された4区がかつての「準エース区間」の面影をなくしつつある点や、「2区レッドオーシャン化」を踏まえ、総合的な区間距離見直しの議論が行われることは良いことだと思います。その点では早稲田の渡辺監督が唱える「5区短縮・2区延長論」は傾聴に値する意見だと思います(言ってるのが渡辺監督である点を忘れればですが)。
また、「そもそも箱根という特殊なレースに陸上界のリソースを投入しすぎ」という問題は、その昔学生野球が盛り上がりすぎて多くの弊害を産んだ後、結果としてプロ野球というオルタナティブを育てたように、「箱根を通らない陸上生活」を育てていくことで解決していくべきでしょう。かつて女子では市橋有里が実業団に所属せずにオリンピックまで行った例もあるわけですし、例えばJリーグの総合スポーツクラブ構想と絡めて、都道府県対抗駅伝で一緒にチームを組んだりする学校と実業団を合同クラブチームに発展させるとか(ex.埼玉栄+東農大+ホンダとかね)。
また箱根駅伝については機会があれば。
 
(1/6追記)
タケルンバ卿のエントリを踏まえて読み直してみると、上の試みは具体的なタイム差の期待値とかには迫れていないので、あくまで印象論な感じ(特に2区に関しては)が拭えないですが、とりあえずそのままに。もそっとちゃんとした分析ができたら書き直すかもしれないです。

(1/6夜追記)
データを改訂版に差し替えて再考察したエントリを上げましたので、こちらと併せて読んでいただくとよろしいかと。
http://d.hatena.ne.jp/dennismoore/20100106

田中亜矢+近藤研二@下北沢レテ

しばらく資格試験だ何だでライヴにも行っていなかったので久々に。恒例になりつつある田中亜矢と「たぶん初のアカデミー賞はてなダイアラー*1」近藤研二(id:aakk)のクリスマスライヴ
「一緒にできる曲が30曲くらいに増えてきた」というだけあって、年々練れてきた感じのこのライヴ。近藤さんの「かゆいところに手が届く」感じのバッキングにいちいち感心しつつ鑑賞。クリスマスソングではないけれど、この時期にぴったりなヴァシュティ・バニヤンの「Rainbow River」の幻想的なカバーが印象的。
今年はやっとバンド「図書館」の1stアルバムも出て(主にイトケンが忙しくてあまり活動できないとか)少し動き始めた田中−近藤ラインですが、次は田中亜矢の2ndフルアルバムが射程に入ってくるといいなあ、と思った夕べ。

*1:音楽を担当した『つみきのいえ』が短編アニメーション部門で受賞

出会いは11億7600万の胸騒ぎ

幸福実現党・大川出馬「宇宙人に日本支配させない」- 社会:ZAKZAK
【09衆院選】幸福の科学の大川総裁、東京比例1位で出馬 - MSN産経ニュース
幸福実現党の立候補予定者が298人!!!!!!!!!!!!:【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´)
幸福実現党 -The Happiness Realization Party
 
ついに御大将の出陣で、幸福実現党が絶賛バックドラフト中。ここまでの時系列を追ってみると、

日時 できごと
5月23日 結成。饗庭直道党首・大川きょう子代表代行。
5月27日 立党決起大会。さとうふみや衆院選第1次公認候補17名発表。
6月4日 大川党首代行→党首・饗庭党首→広報本部長など役員大幅入れ替え。
同日 衆院選第3次公認候補発表。選挙区280名・比例36名に。
6月21日 大川隆法幸福の科学総裁が「新・日本国憲法試案」を発表。
6月23日 東京都議選に4名の公認候補擁立を発表。
6月30日 東京都議選にさらに6名の公認候補を追加擁立。
7月12日 東京都議選。公認候補10名全員落選。
7月16日 石川悦男選対委員長が辞任。後任に坂口頼邦選対委員長代理。
7月17日 東京1区の候補を田中順子広報本部長代理に交代。当初予定の小林早賢幹事長は比例東海へ。
7月20日 衆院選追加公認候補発表で選挙区299名・比例45名に。
同日 さとうふみやの選挙区を福岡8区→比例東京に変更。
7月21日 加藤文康人事局長と一倉洋一経済企画局長を幹事長代理兼任に格上げ。
7月22日 大川隆法の党総裁就任・比例東京ブロックからの出馬を発表。

という感じ。都議選後の動きのガチさには感涙を禁じえない。大敗した与党の選対委員長が辞めたのか辞めなかったのかようわからんことになったのに、実はその裏で最も潔く責任を取っていたのは、幸福実現党の石川選対委員長だったとは。その他幸福実現党のガチさをまとめておくと、

1. 全300小選挙区に立てる宣言はガチ

第3次公認の時点で結構空白区があったことで、関係の深い自民党議員のいるところには立てないんじゃないかという観測もありましたが、7月20日の時点で299で、空白区はさとうふみやを動かした福岡8区(麻生首相の選挙区)のみ。遠からずここにも立ててくるでしょう。
ちなみにオウム真理教真理党が1990年の衆院選に参戦したときは、定数512(中選挙区)に対して25しか立ててません。仮に346名全員落選ということになれば、2000年衆院選共産の312名落選(当選20/候補332)を超えて、おそらく日本の憲政史上最大級の大量落選記録*1ということになるのではないかと。

2. 選挙戦術は意外とガチ

第1次公認の頃は小池百合子のところに大川きょう子前党首、与謝野馨のところに小林幹事長など、注目選挙区に主要幹部を充てる戦術を採っていましたが、最新の候補リスト(てゆうかコレ「第46版」て)によると、気がつけば激しい選挙区調整の結果、主要幹部はほぼ比例から立候補することに。さとうふみやの東京移動も都議選の結果を受けてのテコ入れと見られ、キャラにそぐわない堅実な戦術に切り替えてきたようです。政党要件を持ってないと重複立候補ができないという公職選挙法の規定を当初は理解してなかったんじゃないかという噂もありますが。

3. 人事がガチ

選対委員長の件もそうですが、幹事長→総務会長代理とか一気に2段階の降格人事が唐突に発表されたり、幹事長代理が急に3人体制になったりというスペクタクルな人事が幸福実現党の醍醐味。党首として全国にポスターまで貼り出されたにもかかわらず、いつの間にか広報本部長に格下げされた上、東京12区というキツい選挙区に投下される饗庭元党首の立場ってどうなのよ。

4. 資金力がガチ

300小選挙区の供託金が300万×300で9億、比例が600万×46人で2億7600万だから、供託金だけで11億7600万。幻となった饗庭元党首のポスターでも1000万からの金をドブに捨ててるはずですが、そんなことを微塵も感じさせないリッチさ。「ネカフェ候補者」こと民主党岡田康裕(兵庫10区)あたりがマジギレする様が容易に想像できます。ADKが手がけるという噂のテレビCMにはいくら突っ込むんでしょうか。
 
こうなってくると興味は獲得議席になりますが、普通に考えれば0議席、でしょう。都議選での平均得票率が0.7%前後しかないのに対して、衆院の各比例ブロックで1議席を得るには最低4%前後の得票が必要ですから。「比例だと何議席か取っちゃうんだろうなあ」とか言ってるヤツはとりあえずちきゅうクラブ*2に謝れ!
幸福実現党そのものは脅威ではないと思うし、こういうものをぬるく遇することもまっとうな社会が取るべき態度だと思うのですよね。「幸福実現党を生むことになった社会の中の鬱屈」には思いを致すべきでしょうが。
 

海

*1:正確に史上最大かは未確認。

*2:wikipedia:ちきゅうクラブ。この一件で山本コウタローが仕事と友達を大量になくしたことで知られる。

ITmediaが優しく君を包む

日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (1/3) - ITmedia News
Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編) (1/3) - ITmedia News
概ね全ての質問に将棋で答える - コトリコ
404 Blog Not Found:梅田望夫は「残念」なただ一つの理由

ネットは何かを加速してくれたり、思わぬ出会いをもたらしたりします。でも、生きるということは、ネット回線の向こう側にいる人間とのリアルで生臭い付き合いの中にしかないような気がしています。IT戦士はネットの力だけでは、決して幸せになれないはずです。
(岡田有香『ネットで人生、変わりましたか?』P.9)

日本のwebは「残念」だと思っている梅田さんにとって、インタビュアーではなくweb上の存在としての岡田有香はどのように映っているのだろうか、あるいは見えていなかったり、見たくもない存在なのだろうか、と思ってみたり。
「素晴らしい能力の増幅器」たるwebを「上の人」の流儀で使うことで、もっとすごい所へ行ける(or連れていってもらえる)と考える梅田さんに対し、「上から下まで開かれている」と切り返すユカタンは如何にも「日本的なweb」の側の人で、彼女がそうなるのは自然だろうと思うんですね。「日本的なweb」に関わることで能力を増幅させたことにかけては最大限の成功を収めたひとりであるわけですから。しかも、ユカタンは好き好んで梅田さんの嫌いな「下」へ行くわけです、ネギとか振りに。そんなユカタンを目の前にして、梅田さんが「日本的なweb」を真っ向から否定するという画が、どこか可笑しい。見えていないのか、見たくないのか。そして、心なしか岡田有香の方が自由で、webというものを楽しんでいるように見えてしまう。
6年前のクリスマス、暗いアパートの一室で線メリを抱きしめていた新人記者が、ジャーナリストの大先輩である鳥越俊太郎をwebから叩き出し、今はwebの大先輩である梅田望夫に襲いかかろうとしている。彼女の強まり方たるや「webってすげえな」と言わせるに十分だと思うのだけれど、梅田さんにとっては違うのだろうか。「アメリカ的なwebの世界なら、岡田さんだってもっと遠くへ行けたんだ」と、「残念」な思いを抱いているのだろうか。
 

ネットで人生、変わりましたか?

ネットで人生、変わりましたか?

ディープインパクトの人気ぶりにみる2005年皐月賞の憂い

競馬板ではこんな感じのスレが乱立しています。
見るからにリア充ウイポ厨系の人間が立てたスレですね^^

前々から、この馬はウイポリア充向け競走馬だと睨んでいましたが、本当にその通りでした。
とにかくディープインパクト関連スレの多さが尋常ではないです。

まだ関東で1回しか出走していないのに、1日に50スレくらいはディープのスレが立つ勢いっぷりですから。

やはり、ハイセイコーオグリキャップのヒットでゆとりウイポリア充の莫大な支持の取り込みに成功したJRA特有の現象という他ありませんね。

さて、この馬の血統ですが、これまた典型的なサンデーサイレンス産駒のつまらない配合でした。
ナカミアンデスと同じリファール系の母を持ちますが、まだ微妙な重賞馬2頭しか出していないというカスっぷりです。
こんなカス競走馬をアイドル化するのは、やはりJRAでした。

JRAと言えば、馬主がアガ・カーン(4世)の超絶クソ種牡馬シャーラスタニを輸入して、特に社会現象は巻き起こさなかったヴィエントシチーを輩出した事で有名な競馬主催者です。

そして、こんな糞競走馬がアイドル化されたのも、ナカミアンデスと同じ地味な鹿毛の競走馬をあえてチョイスして、JRAの3大ヒット条件に従ってアイドル化させて、顕彰馬に転じさせるという、おいしいビジネスが発見されたからです。

その3大ヒットの条件とはなんでしょうか。恐らくはこうです。

リア充、一般が見ても楽しめるレースにすること

 (明るく、楽しい、わかりやすいレースにする、コアなレース展開や、敗因が難解なレースは避ける)

ウイポ厨とゆとりに大受けする競走馬にすること

 (とにかく可愛い蒲郡チャン・ツィイーに取材させる、横山ノリをよく2着に連れてくる、日刊ゲンダイに登場させる、OP特別にインパクトを持たせる)

柏木集保に好評なレースにすること

 (全体を通して速いペースで展開する、タイム・血統的背景・基準にこだわる)

これらの要因、3大条件(需要)を満たすことによって、革新的な大ブームを引き起こす事が可能となるのです。そしてそれをたまに実現できるのが、JRAという特殊法人です。

ハイセイコー、オグリ、そしてディープはこの3大条件を満たしているんですね。(ハイセイコーの場合は偶然に、オグリとディープは意図的に)

この法則を使うと、もはやヒットは確約されたようなもの。まさに競馬業界における伝家の宝刀ですね。だって競馬主催者や競馬マスコミのプライドをかなぐり捨てて敢行するビジネスですから。

でも、いくらヒットするからって、ゆとりウイポリア充に媚び続ける特殊法人はどうなのでしょうか?

確かにJRAがプッシュするとどんなに自分と馬券の相性が悪い糞競走馬も、明るくて楽しい(ウイポ厨ゆとり万歳)時計も優秀な(集保歓喜)競走馬になるからって、この風潮は気持ち悪いですよね・・・

この風潮が蔓延すると、ますますミラクルドラゴンズみたいな非リア充競馬ファンに愛される馬が排斥されるじゃないですか。
耐えられないですよ。

ですが、残念な事にこの馬もJRAの思惑通りの大成功を迎えそうです。
恐らく、ディープ関連馬券は皐月賞で売れに売れまくるでしょう。
金子真人が羨ましいです。

まぁ、こんな感じで露骨な金儲け主義のアイドルホース作りに走っていくことにより、ウイポ厨とリア充が大量発生し、競馬全体が腐っていく最悪の流れを今われわれは目撃しているのですが・・・

みなさんはどう思いますか?
 
(元ネタ)
ふよふよ活動 けいおん!の人気ぶりにみる現代アニメの憂い
ひだまりスケッチの人気ぶりにみる現代アニメの憂い - おはようからおやすみまで くらしに競馬を広げる

(編集人注)
単に3行目が書きたくてマクビティのビスケットをむしゃむしゃ食べながら書いた。(思った以上に改変が難しくて)今は後悔している。ざっとネタ書いてから確認したらid:americanbossさんの前エントリがディープネタだったので驚き、早速続きを書くヒントにさせて頂いた。americanbossさんと高橋理事長(当時)とアガ・カーン殿下ごめんなさい。

ソウル・フラワー・ユニオン闇鍋音楽祭2009・1日目@渋谷O-WEST

ゲスト:ハンバートハンバート

D
↑を見て行く気になるというのもアレながら、ハンバートも見たいしで行ってきた。
ハンバートがSFUのイベントに呼ばれるという接点がピンと来ていなかったのだけれど、佐藤良成は高校生のときソウル・フラワー・モノノケ・サミットのカヴァーで文化祭に出たそうな。・・・え?編集人とタメのはずだから、当時は1stアルバム*1しか出てないぞ。「竹田の子守唄」でも歌ったのか佐藤。他の曲だとしてもいい加減ヲタクだな佐藤。
ハンバートのステージは「罪の味」の成功で得た勢いがそのまま出ている感じ。大方の評価としては「癒し系」のイメージが強いと思うのだけれど、メッセージ的には2人とも結構「怖い」、病的というのとも違う素面でおっかないとこがあって、売れることでそういう面からフェードアウトしていくんではなくて、逆にその勢いを使って同じことを強く大きくやっていく感がいいのかなと。
2部に移ると客の空気からしてガラッと変わり(本当にわかりやすく変わるんで面白い)、SFUの登場。今回はメスカリン・ドライヴ結成25周年のお祝いということもあって、元メンバーのうつみようこ(ヴォーカル、チンドン)も参加するというお得な仕様。それもあって選曲はメスカリンやニューエスト・モデル時代も含むちょと古めの曲が多かったものの、「ラヴィエベル」「月光ファンファーレ」など最近の曲もさすがのライヴ映え。食わず嫌いが多そうなバンドだけど、ライヴでこそ生きるバンドですな。
さて、編集人個人的には三十路に入って初のスタンディングということでまず足が持つかどうかが大変心配されたわけですが、ラストの「海行かば・・・」のところで手を挙げたら右腕が攣ったのと、終わった後に頭部が全体的に炎症を起こすという想定外の方向からの敵にやられる結果に。パンクス的には体鍛えるくらいなら死ぬべきか、それとも中川敬の言うように「継続もまたロック」なのか悩ましいところ。