亀田親子と「迷惑」

http://www.youtube.com/watch?v=ly2-qjCWLZ0
「コンビニにたむろするガキと同じでウザい」という観点で態度を批判するやくみつるに対し、亀田父が「迷惑かけなければいいやないか」と反撃する図式ですが、この「迷惑かけなければいい」というのが亀田親子にとって意外に重要なファクターになってる気が。亀田興毅がプロデビュー以来日本人と一度も戦っていない点は、強さを疑問視する観点からずっと言われていたことですけれど、実は「弱い外国人ボクサーを選んで戦う」というよりも「『迷惑』をかけないよう、日本人および日本のジム所属ボクサーとは戦わない」という方が亀田陣営の力点だったりしたんだろうかと、あの亀田父の言動からは思えてしまうわけで。
亀田父の言う「迷惑」というのは「金銭的・物質的な意味で相手に危険を及ぼす」という意味で使っているはずで、「迷惑」をかけなければ勝手、しかし裏を返せば「迷惑」をかけた人には文句を言われても仕方がないという自覚はあるのでしょう。その意味では「見るのもウザい」という論理のやくみつるには「迷惑かけてない」と押し切れるわけですけれど、ボクシングで試合して勝つということは相手選手のキャリアに負けをつける=金銭的・物質的に「迷惑」をかけることに他ならないわけで、そこのリスクを負わずにイメージ作りをしようとしたカッコ悪さがこの結果を生んだのかなと。
「素人衆には迷惑かけちゃなんねえ」というのはずいぶんクラシックなヤクザのスローガンですが、身近な相手と試合をするリスクを避け続けてきたばかりか、やくみつるに食いつかれてしまう程度の危険管理しか持ち合わせない亀田親子はヤクザ未満のチンピラに過ぎないのに、「俺たちはヤクザだ」と振舞ってきたところに悲劇があるのでは。
確かに日本人同士の世界タイトルマッチなどという話になると、ジムも遺恨が残らないかと組みにくいようですし、ファンの間からも「どちらかがチャンプになれないとはもったいない」と敬遠される場合もありますが、そのリスクを超えたところにこそ畑山隆則坂本博之戦やリック吉村戦のような名タイトルマッチが生まれるわけで、よりによってその2試合を放映していたTBSがこのような失態を演じるとは何ともはや皮肉なことで。