門田殿堂入り

Yahoo!ニュース - スポーツニッポン - 門田氏 涙の殿堂入り
門田博光という人は、南海ホークスに辛うじて間に合った世代の編集人にとって特別な存在であると同時に、日本のプロ野球史という観点から見ても極めて特異な存在と言える選手だと思う。歴代3位の567本塁打を放っているが、歴代1位の王は言うに及ばず、2位野村・4位山本浩二・5位清原と比較しても門田のキャリアは明るいイメージで語られることは少ない。「野村は暗いじゃん」という人もあるだろうが、監督も含めた野村のキャリアは暗い力の起こした派手なドラマに彩られているのに対し、門田のそれは絶え間ない故障との長く静かで、新聞には書かれない質の闘いが大部分を占める。
プロ2年目の72年に早くも打点王を獲得しているものの、彼のキャリア全盛期はむしろアキレス腱断裂から復活した80年以降であり、その頃にはすでに南海ホークスというチームが長い低迷期に入っていたことがそうしたイメージを作ってしまったことは明らかだが、それだけに門田という他のチームのファンに誇ることのできるホークス唯一の打者の存在感は際立っていたし、またそうした寒々としたチーム状況の中で記録を残し続けていた偉大さも特筆すべきであろう。
門田が40歳にしてMVPを獲得した88年に南海はホークスを手放すことになるが、それは今回門田とともに殿堂入りした山田久志が引退した年でもあり、また昨年末に亡くなった仰木彬率いる近鉄が「10.19」に挑んだ年でもある。このあたりの動きから今のプロ野球について考えることについては、また日を改めてじっくりと書いてみたい。