ブログと総選挙(その2)

エキサイトの総選挙関連ニュースをウォッチしていたら、
全く方向性の違う2つのブログの動きが目に止まった。
ひとつは「世に倦む日日」で、反小泉の拠点的なブログ。
もうひとつは「心の闇」という、一匹狼の親小泉ブログ。
執筆している当事者はほぼ同年代と思われるだけに、
この2つのブログの間の断絶は興味深く映る。

世に倦む日日」は歴史や文化に関する幅広い知識をもとに
一貫した主張を展開しているブログで、文体も洗練されている。
単純に情報の発信者として見た場合、
優秀なパフォーマーであると言えるだろう。

一方で「心の闇」はどうかというと、
姿勢に関してぶれがない点では「世に倦む日日」と同様だが、
スタイルに関する魅力という点では比べるべくもなく
パフォーマーとしての評価は低くせざるをえない。

しかし、この両者をブロガーとして比較した場合
評価は異なってくる。
ブログというものをより理解しているのは
おそらくパフォーマンスに劣る「心の闇」の方なのだ。

世に倦む日日」には選挙が近づくにつれ
それぞれ特色を持つ反体制派のブロガーが
次々とトラックバックを打ち、
あたかも反小泉ブロガーのハブ(hub)として
位置づけられようとしているかのようだが、
そもそもブログの行き着く先はハブなのだろうか。

トラックバックとコメントによる交流は
確かにブログ間の連携を容易にしたが、
それは従来ハイパーリンクとメールによって行われてきた
ウェブサイト型の交流の延長にしか過ぎない。
面白いネタを持つもの同士が互いを引き立てながら
こつこつとアクセス数を高めていくというのは
かつて「侍魂」が先行者ネタで一世を風靡した頃と
発想としてはどこも変化がない。
単にツールが改良されただけの話だ。

世に倦む日日」は反小泉のハブとして健全に機能している。
連携先とは互いにエールを交換し、
トラックバックを通じて確実に横のつながりを生んでいる。
しかし、健全であろうとするために
コメント欄は閉じ、批判のトラックバックは削除している。
それはハブとしては正しい態度だけれども、
ブログをハブに止めているとも言える。
ブログはハブ以上のものであるかもしれないのに、である。

次のエントリにつづく。