革命とその後

梅田望夫ウェブ進化論』をえらいゆっくり読んでる間に、「インフラただ乗り論」とかはてなブックマークがやたら加熱してる件とか本に書いてある内容を左右する出来事が次々起こり、今からコメントするのもどうかなあと思いつつ少しだけ。ただ乗り論やら電気代やら課題はあるにせよ、梅田氏の論じるようにGoogleがリードする「こちら側」から「あちら側」へのシフトが着実に進むことは確かで、それは「革命」と呼ぶに相応しいと思う。しかし、歴史の伝える多くの「革命」と同じように、ただ一方向に事態が進んでいくのではなく「革命」のダメージによってその組織の体力は少なくとも一時的に落ち込むし、場合によっては混沌の中で「革命」の意義が捻じ曲がることもあることを意識していく必要があるな、とも思った。
読んでいて何となく思い出したのがフランス革命で、ナポレオンがグラン・ダルメ(大陸軍)を作り上げながら、王党派が革命を嫌って国外に流出してしまったために王党派が多かった海軍が弱体化し、ツケをトラファルガー海戦の決定的敗北で払う羽目になったという歴史はインターネットのこれからの10年に何かを示している気がするのだけれど。インフラ企業やマスメディアは「革命」の展開によっては「王党派」になりうるし、もしかしたら国家なんかはネルソン提督として対峙してくるかもしれないし。
そして「革命」を生き残ったとしても、民衆たるネットユーザーに「革命」の恩恵として与えられた「知」は「革命」の担い手たちであるサービスが安穏とできないネット世界を作り上げるだろう。またフランスから歴史を引けば、第二帝政に止めをさしたのは普仏戦争に敗れた無能なナポレオン3世に愛想を尽かした民衆の「知」であったわけで。そういう意味では最近のはてブの燃え具合は見ている分にはサービスの成長という好ましい局面とも取れるけれど、はてな自身の性質と噛み合わなくなってくる危険性つーのもあるんじゃないかと。